ホイアン、時を忘れて
シンチャオ。
(こんにちは)
ホーチミンでお世話になったAnhとその妹に名残惜しく別れを告げて、今朝の飛行機でダナンを経由してホイアンへやってきた。
今回も例外ではなく、空港からGrabの配車アプリを使ってバイクを捕まえ、ダナンからホイアンまでの約30kmの移動距離をバイクに乗って移動してきた。
タクシーなんて、とんでもない。
分相応にバイクで移動中、という感じだが、単純に誰かの運転するバイクの後ろに跨って、走ってもらうこと自体に言葉で説明する以上の魅力を感じている今日この頃。
海岸沿いを悠々と走ってもらい、時速にして何kmだろうか?時折、飛ばされそうになりながら、ものすごいスピートで駆け抜けるバイクに必死でしがみつき(夢がないようなことをいうけれど、正確にはお兄さんの背中ではなく、バイクのしっぽに手をまわしその先の突起につかまっている)目の前に広がる風景を片時も見逃すまいと必死でとらえた。
美しき海岸沿いを抜けた先の公道にて、蓮の花の上にお立ちになる大きな大仏様が現れた。まるで、大仏様のテーマパークかといえるほど、たくさんの巨大な大仏様を横切る瞬間、ここがアジアであることを思い出させた。
海岸沿いとピンク色が印象的な大仏像。一見、ミスマッチのように思われる組み合わせだが、いい味を出してるなぁ~と思わず、見惚れてしまうほど。
実際は、時間にして一瞬だから、見惚れたなんて表現は的確ではないような気がするけれど。ここから、今やわたしの冒険心をくすぐるジェットコースター的位置づけのバイクライディングは30~40分に及ぶ予定。出だしのスタートからかなり好調だ!
好きだなぁ、東南アジア。
移り変わる景色にグリーンが増していった頃、運転手のお兄ちゃんのスマホの地図アプリによる住所確認が頻繁におこなわれる。
すでにホイアンには入っているのだが、住所の特定にどうやら時間がかかっているようだ。
お兄ちゃんに絶大な信頼をおいており、必ず安全無事に届けてくれる、と信じてはいるものの、あまりに分かりにくい場所への案内をお願いしているようで、ところどころ申し訳なさを感じてしまう。他人事のように座っていていいのだろうか・・・時折、格好だけでも自分のスマホで位置確認を調べている風を装い、だが、ここで土地勘のない素人が余計な口をはさんでも、とじっと黙って心のなかで「お兄ちゃんがんばれ!」と応援に徹することにした。
都会の喧騒に慣れてきた頃、田舎の景色に憧れて、自らの意思で滞在先を選んだのがついこの間のこと。
わたしは信州の田舎の景色が大好きだが、今回の選んだ滞在先の周辺の景観が田植えの時期のそれに酷似していて妙に落ち着く。
大好きだ。
わたしの応援が存分に効いたのだろう。ものの数分後には、無事に目的地へ送り届けてくれた。
「ありがとう、あなたもいい日を」と伝えると照れ臭そうにサンキュー、とはにかんでくれた。
辿り着いたところは期待以上に田舎だった。
宿の門をくぐる。
親しみやすい笑顔でようこそ、と歓迎のあいさつを交わしてくれるホスト。
「あなたはいつから、ここで働いているの?」
「ここのヴィラが出来たのが1年半前だから、その時から」
「何かお手伝いできることはある?困ったことは何でも聞いてね」と
とても親しみやすい彼女たちに、あぁ、今回も宿に恵まれたな、と感謝した。
時間の流れが本当にゆったりと感じる。
「わたしは一体どこへやってきたのだろうか?沖縄か?いや、ベトナムです」そんな自問自答を無意識にさせるような場所だった。
人ってはじめてのものに出会うと既知の何かに例えたくなる生き物なんだな。
一段落したので、さっそく古の都ホイアンの街中へ向かうことに。
自転車を借りて田舎道を駆け抜ける背に「ハロー、ハロー」とこだまする声の先には、数人の子どもたちのあどけない笑顔が眩しいほど輝いていた。
観光客の姿が珍しいのだろうか?
あぁ、わたしに向けられたものだったんだなぁ。
ハロー :)
こちらも応答する。
誰しもが時間に追われて生活している現代社会おいて、まるでそう急きなさんな、と諭されているようにさえ感じた瞬間だった。
続く...