物見遊山
日陰を求めて、近くにあった南国のビーチパラソルの下で横になったら、メニューのようなものを差し出された。
「いらない」
というと、50,000ドン払うように要求された。
(!!!)
寝ることも無料で出来ないのか、と世知辛いビーチ付近のビジネスに呆れながら、カフェで飲んだマンゴーヨーグルトより高い値段を支払ってまでする贅沢ではないと割り切りお昼寝は諦めた。
季節は2月の真冬であるというのに、温暖なベトナムでは年中海水浴を楽しめるようだ。
照りつける太陽に、海に入ってしまおうかとも思えたけれど、バックパックの中に水着など入っているはずもなく、
では、サーフィンはどうかと半ば本気でレッスンを申し込もうかと思ってしまった。
実際、穏やかそうに見えて意外と高い波に乗れていないサーファーたちを見ているうちに、初心者デビューを果たす日はまだ先のように思えて大人しく見学することにした。
そうは言っても、せっかくのダナンでの半日を無駄にしたくないと思って、ホーチミンのAnhにおすすめの過ごし方を聞いてみることにした。
困った時の現地の友人である。
レスポンスの早い彼女からは、すぐに返事がきて
「若い男を海でナンパする」
もしくは
「Hai Van Passという山へ行け」
という二つの選択肢が与えられた。
冷静にどう考えても、後者だけど(笑)
Hai Van Passから海と山をフルに一望できる景色がかなりおすすめらしい。
そして、峠を下ってさらに先にあるビーチへ行けという。
万が一、前者を選んでナイスガイを捕まえようものなら、提案のお礼にツーショットを送るようせがまれてしまったが、冗談を言ってくる彼女が相変わらずチャーミングで懐かしかった。
結果、当たり前だけどわたしは山を選ぶことにした。
Hai Van Passは地理的にダナンよりさらに北に位置するフエというところにある。
フエまで行くのに、片道1時間ほどかかる。
時刻は14時過ぎ。
そこから、さらに先のビーチまで行って帰って...と素人の計算でも、現地での滞在時間を短縮すればギリギリ何とか夕方18時にはダナンへ戻ってこれそうだった。
行こう。
実際、最小限の荷物といっても背中にバックパックを背負っており、そんな長距離をまして峠を越えることなど出来るのか、はたまた乗っけてくれるバイクをオファーしたところでそんな簡単にドライバーが見つかるのかも分からなかった。
やってみないと分からない。
何とかなるだろう。
都合のいいように、ただただ、行ってみたい、その気持だけが先行していた。
お馴染みのGrabアプリを使って、1つまで入力できる経由地にHai Van、そして目的地にLang Co Beachと入力してダメ元で近くにいるドライバーを探した。
正直、見つからなくても仕方がないくらいに思っていた。
・・・が、すぐに、見つかった。
数分後、一人のドライバーが現れた。
ヘルメットをあげて、正気か?とでも言いたそうに、
「ほんとにHai Vanまで行って帰ってくるつもりか?」と聞かれた。
それが、Kimとの出会いだった。
続く...