旅と時々、アファメーション

旅と時々、アファメーション

チキンだけど、冒険好き。

アルデンテに思ふこと

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「好きなタイプは?」

  

「へ?」

  

「だから、好きな異性のタイプは?」

「あなたに聞いているんですよ」

  

「えっ、あっ、はぁ...苦笑」

 

面接会場の鉄パイプの椅子にぎこちなく座りながら、無難な答えを必死で探した。

 

予定調和が崩れる瞬間、

 

狼狽している様子が少しでも表に出ないように取り繕いながら、

 

決して豊富とは言えない頭の引き出しをむさぼった。

 

3, 2, 1... 0

 

チーン。

 

心の中で終了の合図が鳴ったような気がした。

 

もはや自分がなんて答えたのか、そもそも答えになっていたのか全く覚えていない。

 

.

.

.

  

仮に

 

「目の前のあなたのような人です。」

 

と答えたとして。

 

...歯浮くワ。

 

(ちなみに、営業志望ではない。いくらなんでも違う。ごますりすぎや。)

 

時として、相手の顔色を伺ってしまう自分が登場する。

 

面接ってこんなにパンチ効いてたっけ?

 

そう言えば、と新卒の頃の面接を思い出す。

 

面接官のひとりである役員(貫禄と威厳をたっぷり兼ね揃えたお偉いさんという感じ)から、

 

最後にひとつだけ質問しますけど、

 

「もし、当社があなたを不採用にしたら、うちは損したことになりますかね?」

 

と聞かれた。

 

気合いと勢いと若さと自信で

 

「はい!大後悔です!」と満面の笑みをたたえて答えていた。

 

若いなぁ。笑

 

大人になるといろんなしがらみがついてくるんだよ、と教えない代わりにその青さを分けてほしい。

 

これで受かっちゃうんだから、ある意味これが新卒カードの強さ、というものなんでしょう。

 

あっけらかんとした若さが懐かしい。

 

ところで、話を戻すと

 

好きなタイプ...

 

いや、あるやろう。

 

思い出せ。

 

自分はすんなりと答えられなかった。

 

お風呂の中でひとり反省会である。

 

今は死語となりつつある、3K?もあるに越したことはないけど...まぁ二の次という感じ。

 

もっと大事なものがあるはずだ。

 

 

どこで見た表現だったか。

 

 ”自分なりの美学を持ち、勝手に生きている他人”

 

なんなんだ、このしっくりぴったりくる表現は。

 

目を瞬かせてうなづいてしまった。

 

そうそう、こんな感じ。

 

勝手に生きている他人、

 

響きの割りに、ちっとも冷たいということはない。

 

むしろ、その逆だ。

 

ドライなんかじゃない。

 

その内実は結構熱かったりする。

 

いざという時のやさしさは底なしだったりする。

 

自分なりの美学、生き方のベースを大事にして生きている。

 

うんうん。好きだ。

 

人としておもしろいかどうか、

 

良い意味で放って置いてくれる人...これだ!と思った。

 

しかし、今思えば答えなどどうでもいいのだ。

 

要は、会話が不自然になったり、途切れたりさえしなければ、余程変な回答をしない限り、つまりそれなりに答えておけば、OKなはずだ。

 

期せずして、最適解を得たような気になり満足していた。

 

次からは、ちゃんと答えを用意しておく。

 

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.

 

袋の表示から2分引く。

 

スパゲッティーを茹でながら思った。

 

異性に限らず、ひともパスタも芯のある感じが好きだ。

 

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